JAN/2022
かつて南海平野線という路面電車があり、今池(西成区)から平野(東住吉区)まで走っていたそうです。
その廃線跡近くの喫茶店が「NHKおはよう関西」(2022年1月25日放送)で紹介されました。
あれ?
このレトロなチンチン電車、どこか見覚えがあるなぁと思って番組を見ていたら、こどものときに乗ったことを思い出しました。
廃線が決まり話題になっていたので、鉄道マニアの友人たちと京都からわざわざ乗りに出かけたのです。
昭和55年に廃線なので、当時小学生。
懐かしい思い出を探しに出かけてみることにしました。
大阪メトロ谷町線で平野駅へ。
駅から歩いてすぐ南海平野線の廃線跡がありました。
「プロムナード平野」
廃線跡はプロムナード平野という名の遊歩道になっていて、信号機なども残されており、当時を偲ぶことができます。
終着駅近くのモールの名前は、かつてこのあたりまで電車が走っていたことを黙して語っているかのようです。
日本は地下鉄路線の拡充を進めてきましたが、地下鉄は電車に乗るためにホームに降りたり、そしてまた上ったりと結構不便です。
高齢者ならばなおさらでしょう。
ヨーロッパ諸都市のように路面電車を活用できないものかなぁと思っています。
小学生のときに、ここまで電車へ乗って来たんだなぁと思い出にひたっていると、この廃線跡プロムナードで遊んでいる親子からこんな声が聞こえてきました。
「なぁ閻魔さんとこの焼き芋買いに行こうよー」
うん?閻魔さんのとこの焼き芋?
そんなんがあるのか。
どこなんやろ。
きっとおいしいに違いない、そんな勘がはたらきました。
「だるま珈琲」
少し歩くと感じのいいカフェがありました。
町家をリノベーションしたカフェのようです。
ちょっとのぞいてみましょう。
なににしようかとメニューを見せていただくと、ハンバーガーの品揃えが充実しています。
どれもおいしそうです。
でも昼ごはんを食べてきたので、お腹に入りそうにありません。
ハンバーガーはあきらめて、コーヒーだけをテイクアウトすることにしました。
「出来上がるまで座って待っていてください」とのことでしたので、席に座らせていただきました。
置かれていたアラジンのストーブがとても似つかわしく思います。
「シングルオリジンコーヒー」
少し甘酸っぱい風味のおいしいコーヒーでした。
でも悔いが残るのはハンバーガー。
ぜひともまたこのお店に来て、ハンバーガーを食べて見ようと思います。
平野は中世において堺に比肩する自治都市として繁栄していました。
その名残りはところどころにありました。
「環濠集落」
堺に比肩する自治都市である前に、大念仏寺の門前町でもあったこともあり、環濠を備えた自衛能力を高めた集落となっていたようです。
「杭全(くまた)神社」
平野郷一円の総社たる杭全神社。
社格は府社ながら、その歴史はかなり古いようです。
「杭全神社 平野郷夏祭り」
夏祭りでは地車が曳行され、たいそう賑わうようです。
隣の京都府に住んでいながら全く知りませんでした。
いちど見てみたいものです。
平野郷の繁栄のあとをぶらり見て、先ほどの親子が話していた「閻魔さん」へ行ってみることにしました。
「平野中央本町通商店街」
どうやらこの先に「閻魔さん」があるようです。
商店街の中は人影まばら。
先日訪れた駒川商店街と違って、寂れた感じは否めません。
地下鉄の駅にして、たった一駅なのに大違いです。
「小林新聞舗」
突然現れたレトロな建物。
昭和4年に建てられたそうです。
当時はたいへんモダンだったんでしょうね。
「全興寺」
どうやらここがあの親子が話していた閻魔さんのところのようです。
あまりにベタな看板に、思わず笑みがこぼれます。
「焼き芋屋さん」
見つけた。これですね。
行列とまではいきませんが、結構買っていく人が多いようです。
あとの楽しみにとっておきましょう。
「本堂」
このお寺は高野山曹洞宗のお寺で、本尊は薬師如来です。
しかし、親子が話していた「閻魔さん」がいる「地獄から極楽への体験ができる寺」として有名なようです。
「地獄の釜の音が聴こえる石」
「地獄堂」
この中には閻魔さんがいます。
閻魔大王が突然喋りだし、地獄の様子も映し出されるため、泣き出す子たちが続出らしいです。
「極楽度・地獄度チェック」
10問の質問に答えると、地獄行きか極楽行きかの判定がされます。
「小さな駄菓子屋さんの博物館」
駄菓子屋で販売されていたものをコレクションしたものが展示されている施設があります。
その中には、南海平野線が走っていた頃の平野の町の様子がジオラマで再現されていました。
懐かしい昭和の風景が広がっていて、食い入るように見ていました。
こちらは駄菓子屋のジオラマです。
このお寺では、境内のおも路地で駄菓子屋が開かれ(毎週土日)、ベーゴマなど昭和の遊びができる広場があるなど、とても面白い取り組みをされているようです。
「壺焼き芋 桂」
さて焼き芋屋さんのところへ戻って、焼き芋を買ってみることにしましょう。
焼き芋屋さんは桂さんというそうです。
普通の焼き芋とはちょっと違っていて、熟成させた芋を壺の中で炭火で蒸し焼きにする「壷焼き芋」というものだそうです。
また紅はるかとシルクスイートという2つの種類があり、紅はるかのほうが甘みが強いとの話でした。
紅はるかがいいなと思いましたが、大きなサイズのものしか残ってないそうなので、シルクスイートの小サイズ(300円)を買いました。
一口頬張ると。
「やわらかっ!」
「甘っ!」
まさに蜜がぎっしりという感じでした。
壷焼き芋、恐るべし。
https://www.instagram.com/katsura.tsuboimo/?hl=ja
じわりくる町。
平野ってそんなところ。
おいしい焼き芋との出会いをくれた親子に感謝です。