MAY/2021
嵐電北野線は北野白梅町(北区)から帷子ノ辻(右京区)までの全長3.8kmととても短い路線です。
沿線には名所旧跡が多く点在しており、観光シーズンには観光客の利用も多いようです。
ただ京都市内線でありながら、市内中心部と離れているため、極めてローカル色の強い路線となっており、沿線の住民や通勤利用でない限り、京都市民であってもまず利用することのない路線です。
「大映通り商店街」
スタートはまずこちらの商店街から。
大映の映画撮影所とともに発展してきた商店街です。
発展するにつれ、銀行や銭湯など生活に必要なものが揃うたいへん賑やかな商店街となったとのこと。
今は通称キネマストリートというらしく、この映画をモチーフとした商店街を歩いていくことにします。
「キネマ・キッチン」
単なるレストランかと思いきや、映画雑誌や台本などが置かれているというコミュニティースペースだそうです。
食事はおばんざいをメインにしたもののようです。
銭湯もまだまだ現役なのがいいですね。
「広隆寺前」
約700mの商店街を歩くと広隆寺の前に出てきます。
嵐電の駅(太秦広隆寺駅)もありますので、ここから嵐電に乗ることにしました。
「帷子ノ辻駅」
1駅隣が北野線の始発駅「帷子ノ辻」。
嵐電沿線には難読駅名が多いことで知られていますが、この帷子ノ辻(かたびらのつじ)もその1つでしょう。
「嵐電北野線」
タイムテーブルを見ると、10分ごとに運行されている様子。
これならば途中下車の旅に便利ですね。
北野線は一部の区間を除いて、ほぼ単線となっています。
「鳴滝駅」
対向車両との待ち合わせのために停車。
車内から外を見ると、駅のすぐ横にいい感じの食堂があります。
昼食にちょうどいい。
途中下車をすることにしました。
「千成餅」
大好きな大衆食堂。
駅前にあるなんて、これぞ昭和スタイル。
ショウケースはなんとも魅惑的。
やはり王道のいなり寿司?それとも今日は赤飯?いや巻き寿司もいっちゃう?
ワクワクします。
店内へ入りましょう。
まったくもってオーソドックスな品書き。
「中華そば」
可もなく不可もなく。
想像以上でもなく想像以下でもない。
これでいい。いや、これがいいんだよなぁと。
胡椒をたっぷり入れるとおいしくなるのが、この中華そばの不思議です。
いなりも1ついただくことにしました。
「かしわ餅」
こうした大衆食堂で売られているお餅がちゃんとおいしいというのも京都のいいところでしょう。
よもぎはつぶ餡、白はこし餡。それぞれ3個づつ買いました。
とりあえず途中下車をした鳴滝駅ですが、駅周辺には何かあるのでしょうか?
どうやら文徳天皇陵というものが近くにあるようです。
Google Map で調べたところ、歩いて5分ぐらいとのこと。
ちょっと歩いてみましょう。
「文徳天皇陵」
どうってことのない天皇陵。
そもそも文徳天皇ってどんな人だったんでしょう。
調べてみたところ、清和天皇の父親だったんだなぁというぐらいの印象です。
「御室仁和寺駅」
かつては御室駅という名称でしたが、2007年3月に観光名所の最寄駅であることがわかりやすいようにと、この御室仁和寺駅をはじめいくつかの駅名が改称されました。
向こうに見えるのは仁和寺。
「仁和寺にある法師(五十二段)」、「これも仁和寺の法師(五十三段)」はともに好きでした。
今思えば、吉田兼好は仁和寺が嫌いだったのでしょうかね。
仁和寺へは向かわず、てくてくと妙心寺へと歩いていきます。
「妙心寺」
妙心寺の北門に到着。
今日はたくさん歩くと決めているので、中を見てまわることにしました。
門前には現役の駄菓子屋も見つけました。
なんか嬉しくなります。
広大な寺域には40以上もある塔頭があり、それらを結ぶ通路はさながら迷路のように感じます。
佐久間象山のお墓もあるんですね。
20分ぐらいあちこち歩いて、もと来た道に戻りました。
「龍安寺参道商店街」
嵐電龍安寺駅に向かうと、龍安寺参道にも商店街があったんだとあらためて発見しました。
商店の数は少ないながら、魅力的に思えるお店がいくつかありました。
とくに今風のわらび餅屋さんに心が惹かれましたが、これを食べたら歩いた分が帳消しになるでしょうね。
「龍安寺駅」
終点北野白梅町までラスト1区間を残すのみ。
終点北野白梅町駅に到着。
こうして、全長3.8km、駅数10駅、所要時間は11分(途中下車なし)の嵐電北野線を踏破しました。
「北野天満宮」
ここまで来たついでです。
天神さんに寄っていくことにしました。
全国いろいろな天満宮を訪れましたが、地元の北野天満宮に来たのはおそらく30年ぶりぐらいでしょうか。
まさに灯台もと暗し。
全国の訪れた天満宮で印象深かったのは防府天満宮でしょうか。
階段を上がった境内からの景色が印象に残っています。
天神さんの梅の木にはもう梅の実がなっていました。
寒さに震えながら梅の花に春の兆しを感じていたのが、もう今となっては嘘みたいです。
「天神さんの梅酒」とか、「天神さんの梅干し」なんて商品化するのはダメなんでしょうかね。
天神さんの東門を出るとそこは上七軒。
小さいながらも古い街並みが残っています。
祇園へは料理屋だけでなく、夜の賑やかなお店にも行ったことありますが、上七軒なんて全く経験がありません。
どんなものなんでしょうね。
さあ帰りましょうか。
ふと目にとまったのは、バス停前にあったごく普通の鮮魚店。
どれもとてもおいしそうです。
見ていると、赤貝と鯛のお造りが特によさそうです。
赤貝と鯛のお造り、そして鱧の照り焼きを買い求めました。
バスの待ち時間が良かったのか悪かったのか。
なにはともあれ家で1杯やることにしましょう。